〈待つ〉ということでわたしたちが知りたいのは、〈待つ〉の定義ではなく、〈待つ〉の縁で起こっている、「〜を待つ」という表現には収まりきれないような〈待つ〉のいとなみであるはずだ。
(中略)ひたすら待つなかで待つひとそれ自身が与しながら気づいていないある出来事、あるいは何かのある訪れを、ひかえめに指し示すという仕方で。そこをくぐり抜けてはじめて、〈待つ〉の別の定義にわたしたちはたどり着くことになるだろう。
(中略)ひたすら待つなかで待つひとそれ自身が与しながら気づいていないある出来事、あるいは何かのある訪れを、ひかえめに指し示すという仕方で。そこをくぐり抜けてはじめて、〈待つ〉の別の定義にわたしたちはたどり着くことになるだろう。
鷲田清一(2006)『「待つ」ということ』角川選書
pp. 92-93
pp. 92-93