2023/シングルチャンネル・ヴィデオ、サウンド /31分51秒​​​​​​​
2023年5月、家の庭に独活(うど)が植えられた。
その行為はおそらく、社会の大きな物語に影響を及ぼすことはないだろう。
しかしそれは、我が家の景観にとって、あるいは土壌の栄養の配分にとって、 ささやかな変化をもたらす出来事だった。

2023年8月、 私は父親にいくつかの質問をした。
数十年前に家の中で撮られたいくつかの写真についてである。
住居の建て替えを前にして、何かエピソードを引き出したかった。
しかし父親の口から出る答えのほとんどは、「分からない」「覚えていない」であった。
多くの出来事が、すでに忘れられている。

忘れられたものたちは、

いかにして映像に定着するだろうか。
記憶と語りと行為を通して、
居なくなったものたちと 出会うための試みとして本作は在る。
Back to Top