2022/シングルチャンネル・ヴィデオ、サウンド/41分49秒
第25回 写真「1_WALL」ファイナリスト選出
何かが失われようとしている。
しかしいったい、何が?
本作は、建て替えが検討される制作者の実家を舞台とした映像作品である。
物質的な空間と我々の身体は、不可分に絡まり合い存在している。
故にある空間が失われることは、空間と結びつく身体の喪失も意味する。
私の家族の身体は、この住居とともにある。
例えば、歩行のリズム。床の軋み。ものの置かれた位置。
他には何があるだろう?

何が失われたのかに気がつけないこと。この家で暮らした私は、それを最も怖れる。それ故記録としての映像を撮った。
本制作は来たるべき空間の喪失と、それに伴う忘却に抗うための実践である。
この映像に映るものが何かを知るのは、いずれ起こる喪失の後だろう。
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